復氏届と婚姻の解消をサクッと解説

結婚して配偶者の名字を名乗っていた人が、配偶者がお亡くなりになった後、その配偶者や子どもは、名字をそのまま残すか、旧姓に戻すのかを選択することができます。

名字を旧姓に戻すための復氏届の提出などは、期限の定めがあるわけではありません。

これらは、期限や時効がある手続きが終わってから、じっくりと考えて手続きができるため、優先順位を後にすることをお勧めします。

そして、離婚など婚姻解消についても解説します。

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夫婦一方の死亡

まずは、民法の第751条の条文を確認しましょう。

1項 夫婦の一方が死亡したときは、生存配偶者は、婚姻前の氏に復することができる。

このように、婚姻によって氏を改めた配偶者は、夫婦一方がお亡くなりになったことで、婚姻前の氏に戻すことができます。

しかし、婚姻によって改めた氏の方が都合の良い場合は、婚姻中の氏のままでも良いということです。

婚姻前の名字に戻す場合

配偶者が、名字を旧姓に戻す場合には、市区町村役場に復氏届を提出します。

申請の期限はありません。

復氏届の記載例

期限 なし
手続き先 配偶者の本籍地または住所地の市区町村役場
手続きする人 故人の配偶者
必要なモノ ・届出書
・戸籍謄本(結婚前の戸籍に戻る際は、婚姻前の戸籍謄本)
・届出人の印鑑

子どもの姓を変える場合

復氏届を提出して旧姓に戻ることができるのは、あくまでも配偶者本人だけです。

民法の第791条の条文を確認しましょう。

1項 子が父又は母と氏を異にする場合には、子は、家庭裁判所の許可を得て、戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、その父又は母の氏を称することができる。

子どもの名字を配偶者の旧姓に変更する場合、家庭裁判所に子の氏の変更許可申立書を提出して、許可をもらう必要があります。

家庭裁判所は、管轄する地域が細かく定められていますので、事前にインターネットで検索するか、家庭裁判所に電話で確認してください。

そして、子どもの姓を変更する場合、子どもの年齢によっては、本人の意思をしっかり確認してから手続きをした方が良いこともあります。

子の氏の変更許可申立書の記載例(15歳以上)

子の氏の変更許可申立書の記載例(15歳以下)

期限 なし
手続き先 子の住所地の家庭裁判所
手続きする人 子(子が15歳未満の場合は、父母などの法定代理人)
必要なモノ ・申立書
・子の戸籍謄本
・父母の戸籍謄本

入籍届の手続き

家庭裁判所の許可を受けた後、市区町村役場に入籍届を提出して戸籍を移し、子どもの姓を変更することができます。

入籍届の記載例

期限 なし
手続き先 子の本籍地または届出人の住所地の市区町村役場
手続きする人 子(子が15歳未満の場合は、父母などの法定代理人)
必要なモノ ・届出書
・子の氏の変更許可審判書
・子の戸籍謄本、入籍先の戸籍謄本
・届出人の印鑑

名字が変わっても婚姻関係は解消されない?

こちらも民法の第728条の条文を確認してみましょう。

1項 婚姻関係は、離婚によって終了する。

2項 夫婦の一方が死亡した場合において、生存配偶者が姻族関係を終了させる意思を表示したときも、前項と同様とする。

復氏届には姓を変える以外の効力はありません。

そのため、復氏届を提出して旧姓に戻ったとしても、故人の親族との関係は、そのまま継続します。

生存配偶者が姻族関係を終了させる意思表示をした時に、姻族関係は終了するということです。

離婚と違い姻族関係が、当然に終了するわけではありませんので、配偶者として、死亡配偶者の財産を相続することになります。

復氏届を提出して姓を変えたとしても、相続には影響しないということです。

つまり、婚姻前の姓に戻ったことを理由に相続が受けられなくなることはなく、遺族年金の受給資格がなくなるわけでもありません。

そのため、扶養の義務や姻族としての権利も引き続き継続されるということになります。

故人の親族との姻族関係を終了したいと考えるのであれば、姻族関係終了の提出が必要です。

ご高齢の世帯、共働きの世帯、身体に障害をお持ちの方のいる世帯など、諸事情により市区町村役場の窓口に行くことが難しい場合は、行政書士に代行を依頼できます。

姻族関係終了届の記載例

姻族関係終了届

期限 なし
手続き先 届出人の本籍地または住所地の市区町村役場
手続きする人 故人の配偶者
必要なモノ ・届出書
・死亡事項の記載がある戸籍謄本、除籍謄本
・届出人の印鑑、本人確認書類

離婚による婚姻の解消

調停前置主義

調停前置主義とは 家庭裁判所で調停を行うことができる事件については、訴えを提起するより、まず、家事調停を申し立てなければならないとする主義・制度をいいます。

いきなり裁判になるのではなく、以下のような段階を経ることになります。

調停前置主義

協議離婚

夫婦が協議によって婚姻の解消をし、届出によって、その効力を生じさせることを協議離婚といいます。

便法としてなされた協議離婚や、生活保護の受給のための協議離婚も有効とするのが判例であり、届出の意思だけで足りると考えられています。

また、成年被後見人の離婚には、成年後見人の同意は不要です。

裁判離婚

協議が調わない時に、まず、家庭裁判所に調停を申し立てることから始めます。

調停が成立せず、審判がなされなかったか、なされても異議があって効力が失われた場合、訴訟を提起することができます。

裁判離婚の場合は、判決確定時に離婚が成立します。

裁判離婚の原因
  • 不貞行為があったとき。
  • 悪意の遺棄がされたとき。
  • 3年以上の生死不明のとき。
  • 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき

以上は、家庭裁判所が裁量によって、棄却することができます。

  • その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

婚姻関係破綻の主たる原因をつくった有責配偶者からの離婚請求は、過去には認められていませんでしたが、例外的に認められる要件があります。

  • 別居期間が夫婦の年齢及び同居期間との比較において相当長いこと。
  • 未成熟の子がいないこと。
  • 相手方が離婚したことによって、極めて過酷な状態に置かれることがないなど、離婚請求を認めることが、著しく社会正義に反すると認められないこと。

離婚の効果

身分上の効力

  • 婚姻関係は、将来に向かって消滅し、遡及効はありません。

したがって、婚姻中に生まれた子は、嫡出子としての身分は失いません。

  • 姻族関係は、離婚によって当然に終了します。
  • 婚姻によって氏を変更した夫又は妻は、離婚によって当然に婚姻前の氏に戻ります。

そして復氏した者は、離婚の日から3ヵ月以内に届出ることによって、婚姻中に名乗っていた氏を称することができます。

財産上の効力

離婚した者の一方は、相手方に対して財産分与を請求することができます。

財産分与に関する当事者の協議が不成立又は、不可能な時は、当事者は家庭裁判所に対して、協議に変わる処分を請求することができます。

家庭裁判所に対する協議に代わる処分の請求は、離婚の時から2年を経過した時は、できなくなります。

財産分与は、夫婦間の財産関係の清算、離婚に伴う慰謝料、経済力が乏しい配偶者の離婚後の生活の安定などの要素を持つといわれます。

また、財産分与と慰謝料とは、別個のモノです。

しかし、財産分与に慰謝料的な要素を含めて、分与の方法や額を決定することはできます。

財産分与に慰謝料的な要素を含めて、分与の方法や額を決定した場合には、重ねて慰謝料を請求することはできませんが、その額及び慰謝するに不足すると認められる時は、別個に慰謝料を請求することもできるとする判例もあります。

婚姻が取り消された場合

民法第748条

2項 婚姻の時においてその取消の原因があることを知らなかった当事者が、婚姻によって財産を得たときは、現に利益を受けている限度において、その返還をしなければならない。

3項 婚姻の時においてその取消の原因があることを知っていた当事者は、婚姻によって得た利益の全部を返還しなければならない。この場合において、相手方が善意であったときは、これに対して損害を賠償する責任を負う。

婚姻によって財産を得た当事者は、相手方に返還しなければいけません。

婚姻によって財産を得た当事者の返還義務の範囲

婚姻によって財産を得た当事者の返還義務の範囲

取消原因

公益的見地から取消が認められるモノ
  • 不適齢婚
  • 重婚
  • 再婚禁止期間中の婚姻
  • 近親婚
私益的見地から取消が認められるモノ
  • 詐欺
  • 強迫

未成年者が父母の同意を得ないで婚姻の届出をし、誤って受理された場合は、取消事由ではありません。

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