生前・遺品整理
死亡者が年々増加する中、故人が残した物を整理、処分する遺品整理業者が増えています。
かつては遺族らが形見分けをしながら、遺品の整理や処分を行っていましたが、少子化や核家族化により高齢者の単身世帯が増加する中、さまざまな業種からの参入が相次ぎ業者とのトラブルも年々増加しています。
またパソコン利用者の高齢化も進み、デジタル遺品の整理・処分には手間と時間とお金がかかり、思いもよらない災いの恐れもあります。
目次
遺品整理のトラブルは大きく3つ
高額請求
悪質業者は、見積もり段階では安い金額で受注。
そして、作業が終わった後で追加料金が発生したといって高額請求をしてきます。
窃盗
故人の趣味の道具や貴重品など、売れば値が付くような品であるにもかかわらず、利用者の無知に付け込み、処分代を取った上に、リサイクルショップなどに売って利益を得ます。
また、作業中に出てきた現金や貴重品などの窃盗は、利用者が気付かないため、犯罪が表面化しにくいのです。
不法投棄
不法投棄が発覚した場合、その処理は遺品整理業者が行うこととなりますが、利用者にも排出責任があるため業者が処理をきちんと行わなかった場合は、再び処分費用を払って処理する恐れがあります。
悪質業者の見分け方
遺品整理を業者に頼む場合に、トラブルを回避するためには、最低でも3社に見積もりを取り、注意すべきことは4つあります。
料金
遺品整理の相場の目安は1ルームなら10万円〜15万円、一部屋増えるごとに5万円増え、2LDKなら25万円〜35万円です。
相場と大幅に差のある業者には、その理由を説明してもらいます。
見積もりにかける時間
2LDKの家であれば、隅々まで見て説明するには、1時間くらいはかかるはずです。
15分くらいで、適当に見積もりを出す業者は、追加料金が発生する可能性があります。
見積もりの内容
トラック何台とか遺品整理一式などと書かれている業者はやめた方がよいと思います。
作業員の人件費、家電リサイクル料、一般廃棄物の処理費用、業者が買い取り可能な家財の金額も要チェックです。
業者の素性
ホームページなどで、専門業者か本業が何かを確認します。
これらのポイントに注意すれば、トラブルの多くは回避できるはずです。
生前整理
生前整理とは、自分が生きているうちに身辺や財産を整理することです。
生前整理を始めるにあたり、まずはいつまでに終わらせるかというゴールを設定します。
親の体力と気力を考えると、片付けをできるのは1日に1時間程度、おおむね半年から1年は必要になるでしょう。
そして、モノ、思い出(写真など)、財産の順に、片付ける部屋の順番を決めて、1部屋ずつ整理していきます。
モノを4つのカテゴリーに分ける
- いるモノ…使っているモノとクリスマスツリーのように将来必ず使うモノ
- いらないモノ…使う予定が決まってないモノ
- 移動するモノ…思い出として残すと決めたモノは収納場所へ移動
- 迷ったモノ…8秒迷ったら箱の中に入れて目の前から消し、半年後にもう一度見て決める
思い出をまとめる
生前整理で最も困ることは、大量の写真です。
思い出が詰まっているだけに処分しづらいものです。
そこで30枚くらいのベストショットを選び、人生を1冊のアルバムに収めます。
写真を1枚1枚選ぶことで、改めて人生を振り返ることができます。
財産の整理
これは親に切り出しづらいものです。
親の理解を得ながら、どのような財産があるのかを聞いておきます。
生前整理は死に支度ではありません。
これから生きていくために必要なモノを残し、充実した人生を送るためのものです。
遺族のみならず、本人にとっても大きなメリットになるはずです。
デジタル遺品
中高年者の数が急増している昨今、パソコン利用者の高齢化も進んでいます。
パソコンやスマートフォン、デジタルカメラなどに残された故人のデータ、いわゆる「デジタル遺品」はどうすればよいのでしょうか?
実は、デジタル遺品は故人の名誉も傷つけかねないという側面も持っています。
故人が犯罪の加害者になってしまう恐れまでもがあるのです。
自分の死後、家族を困らせないために今すぐ始めたい生前整理について解説します。
これらの整理は、いつ始めても早すぎるということはありません。
日ごろから少し意識するだけで、もしものときの状況がまったく変わってしまいますので、ぜひ実践していただきたいと思います。
遺すべきモノ
あなたは何を遺しますか?
デジタル遺品の整理・処分には手間と時間とお金がかかり、思いもよらない災いに見舞われる恐れもあります。
遺された家族のために、そして自らの名誉を守るためにもパソコンやスマートフォン、携帯電話、そのほかデジタル機器に入っているデータをどうすればいいのかを考え、対策を講じておくことが大切です。
いつ病に倒れるか、事故に巻き込まれるかは誰にも分かりません。
家族に何を遺したいか、引き継いでもらいたいか。
あるいは、これは絶対に家族には知られたくないというものがあるかどうか、一度、棚卸しをして書き出してみて下さい。
- パソコン本体…IDとパスワード
- メール…死後すぐに退会するもの、一定期間放置していいもの
- デジタル機器を起動する際のパスワードやロックナンバー
- インターネットバンキング…金融機関名、ID、パスワード、口座番号、照会先、トークン型ワンタイムパスワード機器の所在、乱数表の場所
- クレジットカードの利用明細…クレジットカード情報、紛失照会先、日本のカード会社の連絡先、解約手続方法
- 金融商品に関する情報…取引会社名、取引の内容、照会先、ビットコインなどの仮想通貨の情報
- 有料サイト…サイト名、運営会社名、ID、パスワード、解約方法
- インターネットオークションや通販サイト…ID、パスワード、商品の予約購入などの状況確認方法、退会方法。利用状況、購入したダウンロード版の各種ソフト、電子書籍、ゲーム、高画質画像
- ファイル…「個人用」「会社用」に分け、それぞれ「完全消去」「外付けハードディスクやUSBメモリに◯年間保存」「◯◯氏に送付」「会社に送付」などの処理方法
- ウェブサイトやブログ…死後も保存や管理、または消去
- SNS…FacebookやTwitterなどは個別対応方法
- クラウドサービス…IDとパスワード、解約方法。管理人が自分で、グループ共有の場合、管理用パスワードとそれを誰に渡すのか
- アフェリエイト…契約内容、運営会社と連絡先
- 写真
- 住所録
- 携帯電話やスマートフォン…ロック解除、解約方法を記載します。
これらを遺された家族が見つけやすく、理解しやすい方法で書き残すことが重要です。
デジタル関連の知識を持たない人にも理解できるように、分かりやすい言葉で書いておきましょう。
遺したくないモノ
誰にも言えない、知られたくない秘密は、デジタル機器内に遺さないことです。
もし秘密を持っていたら、必ず対策を講じておくことです。
例えば「死後の世界」というソフトは、一定期間パソコンを起動していない場合に大切な人にメッセージを遺すことができると同時に、遺しておきたくない書類を削除する機能があります。
また、「僕が死んだら」というソフトは、あらかじめ家族に見られたくないファイルを指定しておけば、自分の死後、誰かがパソコンを起動した時に、そのファイルが自動的に削除されるというものです。
大切なファイルを消さないようにするために、遺したくないメールのフォルダをつくり、自動削除ソフトに登録、設定しておきます。