相続のハードスケジュール

相続の目的は、故人が残した財産を、これから生きていく大切な家族に渡していくことです。

相続も、故人の想いを引き継ぐための重要な手続きのひとつです。

残された人たちの生活が円満に進むように、基本知識と最近の法改正などで変わったポイントを確認します。

骨の折れる作業ですが流れを確認することで、プロに頼むモノと自分でできるモノを整理して考えられます。

ポイントを押さえて手続きを進めることでスムーズになるのです。

10万円のお葬式

10万円ホーム

節税だけが相続対策ではない

相続対策と聞くと、真っ先に頭に浮かぶのが、相続税の節税ではないでしょうか?

確かに節税は、分かりやすく数字として結果が見えますので、誰もが気になるポイントです。

しかし、節税だけを考えて相続をしてしまうと、いい方向には繋がらないことも多いのです。

相続税を多く払ったとしても、将来を考えた時に、確実に有利な選択肢になるというケースは、たくさんあります。

逆に、節税対策を最大限行った結果、早い段階で相続した財産が、消えてしまったというケースもあります。

相続の形は、ご家庭ごとに全く異なります。

同じ金額の財産を相続したとしても、それぞれの家庭環境や状況によって、重視するポイントは全く違ってくるのです。

そのため、何となく節税対策をするのが得だろうと考えて、相続をしてしまうと、後で、こんなはずではなかった。

…と、後悔してしまうことも十分あり得るのです。

相続では、節税だけではなく、故人の想いや家庭環境、自分自身の将来の想定など、さまざまな視点から見た上で、最も適切でバランスが取れた対策を、探していくことが大切なのです。

ライフプランを踏まえて考える

賢い相続をするには、相続に関わる家族全体のライフプランを、相続に関わる人、皆で一緒に考えることが望ましいやり方です。

ライフプランとは、あなたや家族が、将来どのような人生を歩んで行きたいのかを考え、計画を立てることです。

例えば、母と息子2人の3人で住んでいる場合、将来、息子たちは家を出て行くかもしれないと考えた時、どのタイミングで結婚をし、結婚した後、今住んでいる家をどうするかなど、将来について具体的に考えて、人生設計を行なってみるのです。

ライフプランを立てると、将来、家族にどのくらいお金が必要になってくるのかを、把握することができます。

ライフプランに応じた形で、遺産分割の検討をすることで、将来にわたって家族全員の満足度が高い相続を行うことができるのです。

相続に関わる基本的な流れを知り、ライフプランを踏まえた相続をすることが重要です。

相続税の申告と納税

相続税の申告と納税には期限があります。

相続税がかかる場合は、相続人は故人がお亡くなりになってから、10ヵ月以内に相続税の申告と納税を済ませる必要があります。

相続税の申告と納税をするまでの流れを把握して、何をしなければいけないのか?

そして、どのような準備が必要なのか?

…を、確認します。

相続税の対象

2015年の税制改正以降、相続税の対象者の幅が大きく広がったため、最近では普通の家庭でも、相続税の対象になるというケースも多くなってきています。

期限を過ぎてしまうと、できない手続きがあったり、本来受けられるはずの税金の優遇措置が受けられなくなったりしてしまうこともありますので、概要をご紹介します。

期限が決められていますので、直前に慌てて手続きをすることにならないように、前もって準備をしましょう。

  1. 遺言書の有無と相続関係の確認
    遺言書によって、故人が自分の財産をどうしたいのかを把握します。
    また、相続人が誰になるのかを戸籍などから確認します。
  2. 相続財産の確認
    相続財産には、現金や不動産などのプラスになる財産だけではなく、住宅ローンを含む借金や、医療費、税金の未払などのマイナスになる財産もあるため、漏れなく確認します。
  3. 相続財産の検討
    相続財産を相続するか、放棄するかなどを検討します。
    相続の放棄をする場合は3ヵ月以内に相続放棄の申述が必要です。
  4. 遺産分割協議
    遺言がない場合には、故人の残された財産を相続人で分割することになり、その場合には、相続人全員で遺産の分け方を決めます。
  5. 相続税の申告と納税
    相続税がかかる場合は、相続の開始から10ヵ月以内に相続税の申告書を作成して、相続税を納付します。

万一、10ヵ月の申告期間を守れそうにない場合は、未分割での申告などでも対応できますので、慌てずに税務署、あるいは税理士に相談してください。

相続の流れ

全体の流れを把握し、期限などを確認した上で相続の手続きを始めます。

相続を知る上で最も重要なことは、相続全体の手続きの流れを把握することです。

例えば、相続放棄を検討しているのであれば、3ヵ月以内に結論を出さなければいけません。

相続するのであれば、相続税が発生するのかを確認し、納税する必要があれば10ヵ月以内に、申告と納税の手続きをする必要があります。

このように全体の流れを把握することで、自分がどの期限までに何をしなければいけないのか?

必要になる書類は何か?

…など、優先順位を考えながら手続きをすることができます。

ムダな手間をできるだけ減らして、時間を有効に使うためにも、相続の全体の流れはしっかりと把握することが重要です。

①遺言書を確認する②相続人を確認する③相続財産を把握する④財産を相続するか?放棄するか?を判断する⑤遺産分割協議⑥相続財産の登記と名義変更⑦相続税の計算⑧相続税の申告と納付

  1. 遺言書を確認する
    相続が発生したら、まず遺言書の有無について調べます。
    遺言書があれば、相続財産をどのように相続、処分するのかについて、故人が指定している可能性が高く、遺言書の有無は相続に大きな影響を与えます。
    自筆証書遺言が見つかった場合は、開封せずに家庭裁判所で検認を受けます。
  2. 相続人を確認する
    役場で故人の戸籍謄本を取得して、出生時まで遡って血縁関係を調べ、法律上の相続人の範囲を確認します。
  3. 相続財産を把握する
    相続財産には預貯金や不動産、自動車、家財などの他、借金や住宅ローンといった負債も含まれます。
    資産性のある財産だけではなく、負債も含めて把握する必要があります。
    なお、相続財産が少ない場合には、相続税が発生しないため、申告は不要となります。
  4. 財産を相続するか?放棄するか?を判断する
    プラスの財産もマイナスの財産も相続の対象になりますが、相続財産の合計がマイナスになる場合は、相続の放棄を検討します。
    相続の放棄は、相続の開始があったことを知った日から、3ヵ月以内と期限が決まっていますので、相続放棄をする場合には、早めの手続きが必要です。
  5. 遺産分割協議
    遺言書があれば、その内容に従います。
    遺言書がない場合は、相続財産の分け方について、遺産分割協議を行います。
    協議の成立には、相続人全員の合意が必要です。
    相続人各自が納得のいく分け方が決定したら、遺産分割協議書を作成して、文書にしておくことで、合意の証明になります。
    相続人全員が合意しなければ、裁判所での調停を検討する場合もあります。
  6. 相続財産の登記と名義変更
    遺言書または遺産分割協議書に基づいて、不動産の相続登記、有価証券、預貯金などの名義変更を行う必要があります。
  7. 相続税の計算
    相続した財産の合計がプラスであっても、必ずしも相続税がかかるわけではありません。
    相続税額を計算して、相続税がかかるかどうかを確認します。
  8. 相続税の申告と納付
    計算の結果、相続税がかかる場合には、相続税の申告と納付が必要になります。
    遺産総額が相続税の基礎控除額を超えない場合には、手続きをする必要はありません。
    相続税の申告と納付の期限は、故人が、お亡くなりになったことを知ってから10ヵ月以内です。

相続全体についての知識を備えておくことで、失敗がなくなります。

流れを把握して必要な場合は、早めに司法書士や税理士に相談しておくことを、お勧めします。

相続サポート

空地・空家の資産化・収益化

生前・遺品整理

デジタルエンディングノート