身内が死んでもらえるお金
年金は、死亡した月の分まで支払われますが、死亡日によっては、全額受け取っていないケースがあり、年金事務所に、未支給年金の請求書を提出して、未支給分の年金を受け取ることができます。
未支給分が受け取れるのは、故人と生計をともにしていた遺族に限ります。
家計を支えていた人が亡くなった時、残された家族に支給されるのです。
また遺族年金がもらえなくても、受給要件に当てはまれば、給付金が支給されることがあります。
未支給年金の請求
年金は、お亡くなりになった月の分まで、受け取ることができます。
まだ受け取っていない年金がある場合には、未支給年金請求の届出を年金事務所もしくは、年金相談センターに提出することで、受け取ることができます。
未支給年金請求書と年金受給権者死亡届は、役所や年金事務所でもらうことができます。
また、日本年金機構のホームページでダウンロードすることも可能です。
未支給年金を受け取れる人
未支給年金は、故人と生計を同じくしていた遺族が受け取ることができます。
ただし、支給される遺族の優先順位が決まっています。
①配偶者
②子
③父母
④孫
⑤祖父母
⑥兄弟姉妹
⑦三親等以内の親族
最も優先順位が高い人が、未支給年金を請求することができます。
同じ優先順位の人が2人以上いる場合には、1人の請求者が同じ順位全員の請求を行ったものとみなされます。
未支給年金請求の手続き
期限 | 時効5年 年金受給停止の手続きと同時に行うと二度手間になりません |
手続き先 | 年金事務所、年金相談センター |
手続きする人 | 未支給年金の受給資格のある遺族 |
必要なモノ | ・故人の年金証書 ・死亡を証明する死亡届や戸籍謄本のコピーなどの書類 ・故人と請求者の関係が確認できる戸籍謄本など書類 ・故人と請求者が生計を同じくしていたことがわかる故人の住民票除票及び請求者の世帯全員の住民票などの書類 ・受け取りを希望する金融機関の通帳 ・亡くなった方と請求する方が別世帯の場合は、生計同一関係に関する申立書 |
遺族年金受給要件
遺族年金とは、一家の家計を支えていた人が、お亡くなりになった場合、残された遺族に対して支給される公的年金で、遺族の経済的な負担を軽くするために支給されます。
手続きの期限は5年ですが、その他の年金手続きと同時に、早めに済ませておくと良いでしょう。
なお遺族年金には、遺族基礎年金と遺族厚生年金があり、お亡くなりになった方の年金の加入条件によって、いずれか、または両方の年金が支給されます。
要件によって、受け取れる年金が異なりますので、どの要件に該当するのかを確認してください。
族年金受給の条件
遺族年金を受給するためには、お亡くなりになった故人によって生計が維持されていたかどうかが、大きなポイントになります。
また、故人に養われていたとしても、その形態はさまざまです。
遺族年金では、この生計維持に関する要件がきちんと定められています。
遺族年金を受給するためには、まずは、この要件を満たしているのかを確認する必要があります。
遺族年金で定められている、生計を維持されていたとは、具体的に以下の2点を満たしていた時に認められます。
- 同居していること。
別居でも、仕送りされている。
健康保険の扶養親族であるなどの事項があれば、認められます。 - 遺族の前年の収入が850万円未満、または所得が655万5,000円未満であること。
5年以内に収入が850万円未満、または所得が655万5,000円未満になる見込みがあれば対象になります。
遺族基礎年金
受け取れる遺族
遺族基礎年金の支給対象になるのは、国民年金に加入していた故人に、生計を維持されていた以下の要件に該当する人です。
①子のいる配偶者(夫または妻)
②子
子とは、結婚していないこと、かつ18歳到達年度の末日である3月31日を経過していない子と、20歳未満で障害年金の障害等1級または2級の子を指します。
また、配偶者に関しては、内縁の妻であっても、生計維持の要件を満たしていれば、受給資格があります。
ただし、事実婚を証明するための書類、例えば、健康保険の被扶養者や第三者による扶養の証明などが必要になります。
遺族基礎年金の支給
遺族基礎年金は、残された家族の中の子供の人数によって、支給される金額が異なります。
そして年金の支給額は、物価や賃金の変動などにより毎年見直され、変更になる可能性があります。
遺族基礎年金の年額
子供のいる配偶者の場合
780,100円+子の加算(第1子・第2子=各224,500円、第3子以降=各74,800円)
配偶者がいなくて、子供が遺族基礎年金を受給する場合の加算は、第2子以降について行い、子供1人当たりの年額は、上記の計算で導かれた年金額を、子供の人数で割った額となります。
遺族基礎年金の支給停止要件
遺族基礎年金は、残された子供の支援が目的となります。
受給決定後、永遠にもらえるモノではありません。
支給の停止や資格喪失要件がありますので、注意が必要です。
- 遺族補償による支給停止
お亡くなりになった理由が、業務上の理由による死亡で、労働基準法における遺族補償を受給できる場合は、死亡日から6年間、遺族基礎年金の支給が停止されます。 - 配偶者の所在不明による支給停止
遺族基礎年金を受給している配偶者の消息が、1年以上不明となった場合には支給停止となります。
支給を受けている配偶者の所在が不明な場合は、子の申請によって配偶者の遺族基礎年金を支給停止にして、子に遺族基礎年金が支給されます。
故人の要件
遺族厚生年金を受け取るためには、故人にも次のような要件があります。
- 被保険者が死亡した時、または被保険者期間中の傷病がもとで、初診の日から5年以内に死亡した時。
- 老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある者が死亡した時。
- 1・2級の障害厚生(共済)年金を受けられる者が死亡した時。
受け取れる遺族
遺族厚生年金の支給対象になるのは、厚生年金に加入していた故人に生計を維持されていた、次の要件に当てはまる人です。
- 妻
30歳未満の子がいない妻は、5年間の有期給付となります。
また子のある配偶者は、遺族基礎年金もあわせて受けられます。 - 子、孫
子は、遺族基礎年金もあわせて受けられます。
この場合の子とは、結婚していないこと、かつ18歳到達年度の年度末を経過していない者、または20歳未満で障害年金の障害等級1・2級の障害者に限ります。 - 55歳以上の夫、父母、祖父母
支給開始は60歳からです。
ただし、夫は遺族基礎年金を受給中の場合に限り、遺族厚生年金もあわせて受給できます。
支給額
遺族厚生年金は、遺族基礎年金と異なり定額ではなく、お亡くなりになった方の収入によって受給金額が異なります。
ねんきん定期便などで確認をして、計算することも可能ですが、条件によって金額も変わってきますので、正確な年金の額は、年金事務所やねんきんダイヤルで確認することをお勧めします。
請求方法
遺族基礎年金は市区町村役場、それ以外の遺族厚生年金などは、年金事務所で手続きを行います。
まとめ
期限 | 時効は5年 |
手続き先 | 遺族基礎年金のみ受給する場合は、市区町村役場 遺族厚生年金の受給がある場合は、年金事務所 |
手続きする人 | 受給の対象になる遺族 |
必要なモノ | ・年金請求書
故人と請求者の両方 その他 |
ここから遺族年金診断チャート(PDF版)をダウンロードして、ご利用ください。
遺族年金以外の給付金
遺族基礎年金の要件に該当しない場合であっても、納付した年金が掛け捨てにならないように、救済策として支給される制度が寡婦年金と死亡一時金です。
遺族年金がもらえないからといって、諦めてしまってはもったいないので、受給要件を確かめるためにも、年金事務所に電話で相談してください。
寡婦年金
寡婦年金の受給要件
亡くなった夫の条件
- 国民年金の第1被保険者として、免除期間も含め、保険料を納めた期間が10年以上ある。
平成29年8月1日より前に亡くなっていた場合は、25年以上の期間が必要です。 - 障害基礎年金の受給権者ではなく、また老齢基礎年金を受給したことがない。
亡くなった夫との関係による条件
- 10年以上継続して婚姻関係にあった。
- 生計維持されていた。
年齢による条件
- 残された妻の年齢が65歳未満。
寡婦年金は、夫が老齢年金を受け取る前に死亡した場合、それまで支払ってきた保険料が掛け捨てにならないように、妻に対して支給される年金です。
寡婦年金を受給できるのは、60歳から65歳になる前までの間で、故人の死亡日から5年以内に申請をする必要があります。
死亡一時金
死亡一時金の受給要件
亡くなった方の条件
- 第1号被保険者として、保険料を納めた期間が3年以上ある。
- 老齢基礎年金、障害基礎年金を受給しないまま亡くなった。
遺族の条件
- 遺族が遺族基礎年金の支給を受けられない。
- 寡婦年金の支給を受けていない。
死亡一時金は寡婦年金と同様に、国民年金に加入していた故人が支払った国民年金の保険料が掛け捨てにならないように、一定の要件を満たした遺族に支払われる一時金です。
死亡一時金は、保険料納付済期間の長さにより、支給される金額が異なります。
死亡一時金を申請する時効は、死亡日から2年です。
年金事務所に、受給権を確認して時効になってしまう前に、請求をしましょう。