遺産整理スーパーガイド

基本的に遺品は全て故人の財産です。

相続人に分配される際には、全ての遺品が対象になります。

しかし中には、財産と呼ぶには、難しいモノも存在します。

相続財産以外の遺品で、必要のないモノをどのように処分したら良いのか?

特に同居ではなく、別居していた身近な人がお亡くなりになった場合、故人が使っていた生活雑貨やゴミなどが、そのまま残されます。

そしてスマートフォンなどの普及により、故人が残したデジタルデータやネット銀行、電子マネー、仮想通貨などの取り扱いについて解説します。

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相続財産になるモノとならないモノを仕分けする

遺品には、相続財産になるモノとならないモノが存在しています。

例えば、現金や有価証券、価値のある骨董品や貴金属などは、相続財産として考える必要があります。

一方で、金銭的に価値はないものの、故人が大切にしていたモノや、生活雑貨など、金銭的な価値のない遺品も存在します。

こういった遺品は、遺品整理の際に相続財産とは別に仕分けして、適切に処理しなければいけません。

遺品整理をする前に気をつけること

遺品整理をする前に、考えなければいけないことがあります。

それは、故人の遺産を相続するのか?

放棄するのか?

…ということです。

遺品整理で、金銭的価値があるモノを処分してしまった場合、後で故人の借金が発覚した時に、相続放棄ができなくなる可能性があるからです。

そのため、相続放棄をする場合には、明らかにゴミと分かりモノ以外の遺品は、勝手に処分をしたりせずに、そのままにしておかなければいけません。

また、明らかに市場価値のないモノやゴミなどを処分した場合であっても、何を処分したのかを記録しておきます。

市場価値のないモノは形見分け

故人が使っていた遺品を親しい人たちで分け、遺品を通して故人の思い出を共有することを形見分けといいます。

高級時計や貴金属、金銭的な価値の高い骨董品などは、相続税の対象となり、形見分けとして認められない可能性が高いので注意が必要です。

しかし、市場価値のないモノで、故人が愛用していた生活雑貨や小物、衣類などは手元に残しておきたいと考える人もいるかもしれません。

そういった場合には形見分けとして、遺品整理の際に、皆で話し合って分けていきます。

市場価値があるかどうか、判断がつかないモノは、自己判断してしまうと、後々のトラブルを招く可能性もあります。

遺品の整理と処分の方法

業者に依頼する場合

故人が賃貸物件に一人で住んでいた場合、遺品整理をしなければ家を引き払うことができないため、そのまま継続的に家賃が発生します。

そのため、遺品整理はできるだけ早く終わらせたいものです。

しかし、故人が生前整理を全く行なっていない場合、仕分けや処分をしなければいけない遺品が多く、残された遺族だけで整理をするのが難しいケースもあります。

そのような場合には、第三者に遺品の処理を依頼するという選択肢があります。

遺品整理の専門業者であれば、不用品であっても故人が大切にしていたモノは供養するなど、専門業者ならではの対応をしてくれます。

また、不用品回収業者などの場合には、処分しなければいけない品物の中で使えるモノがあれば買い取りをしてくれます。

廃棄処分が必要なモノについては、適切に処分をします。

業者に遺品を買い取ってもらう場合には、いくつかの業者に査定を取るようにして、一番良い条件の業者を選ぶという方法もあります。

高級腕時計など、高価な遺品をまとめて換価する場合は、遺品の中から価格が分かりやすいモノを一つ選び、それをいくつかの業者に査定をしてもらい、その中で一番高い査定が出た業者に任せるという方法もあります。

遺品整理を依頼できる業者

  • 遺品整理業者
  • 遺品整理士
  • 不用品回収業者
  • リサイクルショップ

自分で処理する場合

整理する遺品の量が少ない場合には、不用品を仕分けして処分をします。

家具などの大きな遺品に関しては、各自治体により扱いが異なることがありますが、基本的には粗大ゴミとして処分します。

また、テレビやエアコン、冷蔵庫といった大型の家電は、家電リサイクル法により、粗大ゴミとして処分することができないため、その家電を購入した店舗に連絡して、有料で引き取ってもらいます。

購入した店舗が分からない場合は、自治体に問い合わせてください。

供養がしたいモノがある場合

不用になった故人の愛用品などを、ゴミとして処分するのではなく、感謝の気持ちを込めて供養したい場合には、お焚き上げを行う方法もあります。

故人の想いがこもった愛用品や、神仏に関わるモノなどを、お寺や神社で焼いて供養することを、お焚き上げと言います。

年末年始に神社やお寺に古札納め所が設置され、お札やお守りを納めたことがある方も多いのではないでしょうか?

お焚き上げされるモノは、お札やお守りに限定されるわけではありません。

故人が大切にしていた遺品、神具や仏具といった神仏に関わるモノなども浄火で供養することができます。

お焚き上げは一般的には、神社かお寺で行うことができます。

お焚き上げ供養を依頼する場合には、まずは菩提寺などに相談してください。

菩提寺がない方や菩提寺がお焚き上げを行なっていない場合には、葬儀社や仏具店などに聞いてみると良いかもしれません。

また、遺品整理業者などでお焚き上げ供養をするサービスもあります。

デジタル遺品におけるトラブル

故人がネット銀行、電子マネー、仮想通貨などの口座を持っていた場合や、ネット証券で株やFXなどの取引を行なっていた場合、それらの口座にある現金や株式は、特典ポイントなどを除き、相続財産になります。

しかし、これらのデジタル遺品の取引は、インターネット上で完結することがほとんどであるため、残された家族が、その口座の存在を把握できないことが多いのが実情です。

更に電子マネーには、運営会社が5年、10年などの有効期限を設定しているモノがあり、相続手続きの際に注意が必要です。

また、パソコンやスマートフォンのパスワードが分からない場合には、どのようなデジタル遺品が存在しているのかも把握することができません。

こうなった場合には、パソコンの専門家などに依頼して、パスワードを解除してもらう必要があります。

デジタル遺品に該当するモノ

  • 写真データや動画
  • SNSのアカウント
  • ネット銀行、ネット証券の口座
  • スマートフォンに残されている故人の友人や関係者の連絡先
  • パソコンのハードディスクに保管されている画像や文章
  • 電子マネー、仮想通貨

電子マネーや仮想通貨などの手続き

期限 5年、10年など期限があるモノもあるので、速やかに
手続き先 運営会社
手続きする人 デジタル遺品を相続する人
必要なモノ 運営会社により異なる

  • 戸籍謄本
  • 届出人の本人確認書類
  • 相続人全員の印鑑証明書や遺産分割協議書など

生前準備が大切

デジタル遺品に関しては、パスワードを知らない遺族からの承認手続きの制度は整備されていないのが現状です。

トラブルを防ぐためには、生前に家族内で口座の存在やパスワードについて、共有しておくことが大切です。

エンディングノートや遺言書に、パソコンやスマートフォンのパスワードや、ネット銀行の口座や連絡先などを記載しておくと、残された家族は大いに助かります。

なお、遺言書やエンディングノート、メモ帳などにデジタル遺品を記載する場合、ネット銀行、ネット証券の会社名と口座名などを記載するだけで、遺族は相続手続きが可能です。

パスワードの記載は必要最小限に抑え、生前に情報漏洩しないように、保管することが大切です。

スマートフォンやアプリのパスワードを遺言書などに記載する必要がある場合、事前にパスワードが外部に知られることを防ぐため、封印をする、貸金庫などに保管するなど、情報が流出しないように注意します。

弁護士、司法書士行政書士などの預かり業務を行なっている専門家に、存命中の保管を依頼する方法もあります。

また法務局による、自筆証書遺言の保管制度の利用を検討するのも良いでしょう。

デジタル遺品の処分

デジタル遺品は、どれだけ膨大なデータであったとしても、場所を取らないということもあり、残された家族もデータを処分することなく、そのまま放置しているケースが非常に多くあります。

しかし、デジタル遺品に残されたデータから個人情報が流出することもあります。

必要のないデジタル遺品については、データをきちんと処分できる専門家に相談して、処分することが必要です。

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