困ったときに頼れる死後の専門家
家庭やあなた自身の状況によって、必要な書類や証明書などは異なる場合があります。
そんな時は、悩んだり、調べまわったりしなくても、役場や公的機関などの担当窓口で、親切に教えてもらえるものです。
また、各種の届出や相続に関わる手続きは、それぞれの専門家がいます。
忙しくて手が回らない時や、行き詰まった時は、専門家の手を借りることで、手間を省きながらベストな選択をすることができます。
相続は人生の中で、何度もあることではありません。
手続きに必要な書類も多く法律も複雑で、一般の私たちにとっては、分からないことだらけです。
相続に関する得意な分野は、それぞれ異なるため、専門家の特徴と、どのような場合に相談すればよいのかをまとめました。
弁護士
争いごとを解決するプロフェッショナルです。
- 相続の法律相談をしたい。
- 相続人の間で対立しているので、家庭裁判所に調停を申し立てたい。
- 寄与分や遺留分の請求のため、家庭裁判所に調停を申し立てたい。
- 家庭裁判所に不在者財産管理人や相続財産管理人を申し立てたい。
- 遺産を不当に侵害されたので、裁判を起こしたい。
- 故人に多額の借金もあるが、資産もあるため、相続放棄をすべきか否かを迷っている。
…などの場合に、相談しましょう!
弁護士は、相続手続き全般の代理人となることができますが、裁判所などの手続きで代理人となれるのは弁護士だけです。
遺産分割調停や審判など、裁判所が絡む相続の問題については、弁護士に相談するのが一般的です。
相続人が子ども一人の場合などは、揉めることはないので、弁護士に依頼する必要はないでしょう。
しかし、
- 連絡を取っていない相続人がいる。
- 相続財産が、どれくらいか全く分からない。
- 誰が相続人なのか、全く分からない。
- 複数の相続人がいて、話し合いがまとまりそうにない。
…など、あなた一人では荷が重いと感じる時には、依頼を検討してみましょう。
司法書士
不動産、金融資産整理のプロフェッショナルです。
- 不動産の相続登記をしたい。
- 預貯金や有価証券など、金融資産の承継手続きをしたい。
- 遺産整理の方法を、総合的に相談したい。
- 相続放棄をしたい。
- 家庭裁判所に、遺言書の検認手続きをしたい。
- 故人が会社役員だったので、承継手続きをしたい。
- 預貯金の解約をしたい。
…などの場合に、相談しましょう!
司法書士は、不動産の相続登記の他、預貯金や株式などの金融資産の承継手続きを代行できます。
相続した土地や建物、預金通帳や株式の通知書など、相続をどのように進めたらいいか分からない場合は、司法書士に相談するといいでしょう。
故人の遺産の中に、土地や建物がある場合や、遺産を放棄する場合は、必ず相談することになります。
スムーズに働いてくれる司法書士を選ぶには、相続にまつわる手続きの経験を尋ねるといいでしょう。
他の専門家に相続の手続きを依頼した場合でも、相続登記に関しては司法書士に依頼することになります。
また、相続手続きの際に必要となる、戸籍謄本の取り寄せや書類の作成、提出も司法書士に依頼することができます。
また、故人が会社役員の場合は、会社の登記も変更が必要ですが、これも司法書士が代行することができます。
税理士
税金関係のプロフェッショナルです。
- 相続税の申告について、相談したい。
- 準確定申告について、相談したい。
- 不動産を相続した時に、上手に相続税を節税したい。
- 相続した株式や不動産を売却して、遺産分割した時に譲渡税申告をしたい。
- 自分で相続税の申告をしたが、相続税の還付をしたい。
…などの場合に、相談しましょう!
税務申告の代理人となれるのは、税理士のみです。
相続をするにあたって、一番大きな問題となってくるのは、相続税の申告です。
どのように相続すると、税金が高くなるのか?
また、どのように相続すると、税金が安くなるのか?
…など、税金に関するアドバイスをしてもらえます。
相続税の申告手続きを依頼したいのであれば、税理士に頼む必要があります。
また、遺産調査なども依頼することもできますが、相続問題に上手く対処できる税理士は、全体の1/5ほどしかいないと言われています。
年数件の相続税の申告をしている税理士であれば、安心して任せられます。
行政書士
遺産整理全般のプロフェッショナルです。
- 故人の相続人を、調べる戸籍収集をしたい。
- 預貯金や有価証券など、金融資産の承継手続きをしたい。
- 遺産整理の方法を、総合的に相談したい。
- 遺産分割協議書の作成を、相談したい。
- 自動車の相続手続きをしたい。
- 故人が事業の許認可を受けていたので、変更手続きをしたい。
…などの場合に、相談しましょう!
市区町村役場の諸手続きの進め方や、遺産分割協議書の作成などを、どのように進めたらいいか分からない場合は、行政書士に相談するといいでしょう。
相続人の確定、相続関係図の作成、事業承継に必要な書類の作成の手続きなどを依頼することができます。
相続に関するトラブルは生じていないけれども、面倒な役所への手続きを、自分で処理するのが大変な方などは、行政書士に相談してみるといいでしょう。
また、故人の自動車の相続手続きを陸運局でする場合や、故人が事業の許認可を受けていたので、変更手続きをしたい場合も、行政書士が手続きを代行することができます。
相続問題は、限られた時間の中で、多くの手続きを済ませる必要がありますので、こちらが連絡した時に、レスポンスが早い行政書士を選ぶのがお勧めです。
返信が遅いタイプは、数日で終わる作業に数ヵ月かかってしまうケースもありますので、注意が必要です。
社会保険労務士
年金・国民健康保険のプロフェッショナルです。
- 健康保険の資格喪失をしたい。
- 国民健康保険の資格喪失をしたい。
- 介護保険の資格喪失をしたい。
- 年金受給の停止と未支給の年金の申請をしたい。
- 公的保険に葬祭費や埋葬料の申請をしたい。
- 高額医療費の払い戻しをしたい。
…などの場合に、相談しましょう!
医療保険や年金といった、社会保険にまつわる手続きをサポートしてくれます。
また、故人の健康保険や介護保険の資格喪失、高額医療保険の払い戻しについてなどが相談できます。
しかし、社会保険労務士に相談できる手続きは、自分で行えるモノが多いのも事実です。
忙しくて、1人で手続きを進められない場合や、できるだけ早く済ませたい場合に力を借りるといいでしょう。
役所の職員さん
役所の職員の方は、固くて融通がきかない。
無愛想で冷たい…
そんなイメージがありますが、今は皆さん非常に親切で丁寧です。
どうしても、手続きの期限に間に合わない場合や、手続きに必要なモノが揃わない場合などは、相談して、理由を事前に伝えることで、柔軟に対応してくれることもあります。
その他、困ったことがあって、何処に相談すればよいか分からない時は、役所の代表電話にかけて、困りごとを説明すれば、担当部署へ回してくれます。
手続きで迷った場合、まずは役所の代表電話にかけてみましょう。
年金事務所
複雑な年金制度は、年金事務所に相談します。
公的年金の原則は、一人一年金です。
複数の年金の受給要件に当てはまっていたとしても、受給できるのは基本的に1つの年金だけです。
例えば、子どものいる妻が障害基礎年金を受給していたとして、配偶者である夫が突然お亡くなりになり、遺族基礎年金を受給できる要件を満たしたとしても、障害基礎年金と遺族基礎年金の両方を受給することはできません。
この場合には、障害基礎年金と遺族基礎年金のどちらか1つの年金を選択することになります。
ただし例外もあり、年金見込額なども故人の年金の加入状況によって異なります。
受給要件に該当するのかどうかも含め、非常に複雑であるため、自分で判断しようとするのではなく、まずは年金事務所へ行き、相談することをお勧めします。
2つ以上の年金受給権がある場合、年金事務所で相談すれば、有利な選択肢を勧めてもらえます。
また、年金事務所に相談する時は、
・本人確認書類
・年金手帳や年金証書など、故人の基礎年金番号が分かる書類
…を、持参するとスムーズです。