遺産のリストアップを今すぐやる理由

相続にまつわる話は難解でよく分かりません。

何から始めればいいのか?

…検討もつきません。

親の死後のことは、家族で話しづらいものです。

こういった印象を持っている人は、多いのではないでしょうか?

人間一人が死ぬということは、ものすごく大変なことなのです。

物も残る…

必要な手続きは多い…

手続きをしなければ返ってこないものばかり…

そして、税務署までやって来る。

それらは、当事者になって初めて知ることになるのです。

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遺産の中身や評価額をリストアップ

遺産の種類は、相続財産とみなし相続財産の二つに大別されます。

相続財産は、故人が人生で築き上げた財産です。

例えば、預貯金等の金融資産や、自宅等の不動産。

みなし相続財産は、実質的に相続で手に入れたものとしてみなされるものです。

税法上の正式な名称ではありませんが、このように呼ばれています。

例えば、生命保険の死亡保険金や、在職中に亡くなったときに支払われる死亡退職金などです。

また、3年以内に法定相続人に贈与した財産や相続時精算課税制度を利用した贈与もみなし相続財産です。

なお、これらはプラスの遺産とも呼ばれるが、一方でマイナスの遺産と呼ばれ、故人の借金やローン、未納の税金といった債務も、遺産に含まれます。

相続は原則として、被相続人の一切の権利や義務を受け継ぐこととなるため、相続する場合は、マイナスの遺産も一緒に引き継ぐこととなります。

マイナス遺産の対処法

マイナスの遺産が多く、相続放棄をしたい場合は、被相続人の死後3ヵ月以内に相続放棄申述書を家庭裁判所に提出します。

例えば、親に借金が多いことが死後に判明しても、3ヵ月以内に手続きをしなければ手遅れです。

しかし、親の借金が多いことが分かっていても、親の生前に相続放棄することはできません。

プラスの遺産とマイナスの遺産、どちらが多いのか分からず不安なときは、限定承認を選ぶこともできます。

これは、プラスの遺産の範囲内で、マイナスの遺産を相続することで、相続財産の範囲内で、被相続人の債務を負担すれば済むのです。

例えば、2,000万円の財産を相続した後に借金が3,000万円あることが分かった場合は、2,000万円のみの返済となります。

ただし、限定承認は、法定相続人全員の同意が必要です。

そして、相続放棄の判断は、延長することも可能です。

故人の死後3ヵ月以内に、相続の承認または、放棄の期間の伸長を家庭裁判所へ申請することで、相続放棄または限定承認の期間を延長することができます。

遺産の評価

相続税の計算の基となる遺産の評価方法は、遺産の種類によって異なります。

原則は、死亡当日の時価となります。

現金や預貯金などの金融資産は、死亡した日の残高です。

株式も株価を基に、比較的簡単に確定することができます。

ただし、上場と非上場によって評価方法が異なります。

問題は、預貯金の口座がどこにあるかです。

親が元気なうちに、利用している銀行はどこか?

ネットバンクなどに口座はないか?

株を持っていないか?

…などと聞いておくことができればベストです。

また不動産の評価方法は、注意が必要です。

建物は固定資産税評価額、土地は路線価と、それぞれ別々に評価され、評価基準も異なります。

固定資産税評価額は、毎年春に役所から送られてくる納税通知書に記されています。

路線価は、国税庁が毎年7月に公表して、ウェブサイトでも確認できます。

地方などの路線価が決められていない地域は、土地の固定資産税評価額に一定の倍率を掛けた、倍率方式を用います。

なお土地は形状によって評価が変わり、使い勝手がいい土地ほど評価が上がり、その逆は下がります。

土地の評価に関しては、小規模宅地等の特例が適用できれば、最大80%も減額されますので、相続税の有無や金額を大きく左右します。

そのほかの財産の評価方法の目安は、下の表を参考にしてください。

遺産の種類と評価の目安
相続財産 遺産の名称 相続税評価額の簡易計算法
預金 親が死亡した日の残高
預貯金 親が死亡した日の残高
債券・投資信託 親が死亡した日の時価
株式 親が死亡した日の時価など4通り
市街地の土地 路線価方式による評価額
郊外や別荘地、農村部などの土地 倍率方式による評価額
家族が住み続ける自宅の建物 固定資産税評価額
貸家の土地 実勢価格×80%×80%
貸家の建物 固定資産税評価額×70%
ゴルフ会員券 取引相場の70%(取引が成立しないものは無価値)
自家用車 下取り査定価格(6年以上経過した自動車は無価値)
家財一式 再調達に要する金額(一般家庭なら一式30万円程度)
美術品・骨董品類 鑑定価格または時価(よほどの逸品以外は無価値)

アーティストの遺産

画家のお父さん自身が描いた絵画作品であれば、作品そのものの所有権と、その作品の著作権、両方が相続の対象となります。

遺言で引き継ぐ人が指定されておらず、相続人が複数いる場合は、遺産分割協議で作品そのものとその著作権を誰が引き継ぐか話し合う必要があります。

ちなみに著作権自体に一定の財産的価値のある作品であれば、著作権も相続税の課税対象となる可能性があります。

ペット信託

1人暮らしで愛犬の今後が心配という場合に、財産を愛犬に相続できるのでしょうか?

残念ながら動物は相続人になれません。

私権の主体

私権の主体は、主人公と理解すると分かりやすいと思います。

この理解の仕方は、資格、メンバーシップ、司法上の取引に参加する主人公となれる資格といことです。

それを持っているのは、人です。

お猿さんのように知能が高くても、人でない以上は取引社会における主人公になる資格は持っていません。

なお、私権の主体である、私たち人間を自然人と呼びます。

また、法がつくり出した法人というものがあり、会社がその典型例です。

例外として相続の場面で、胎児が例外的に生まれたものとみなされます。

お父さんが亡くなる前に生まれていれば、相続人になれるのであれば権利能力を持っているということです。

しかし、お父さんが亡くなった段階で、お母さんのお腹の中に胎児という状態でいるという場合には、相続できないというのが建前です。

胎児は権利能力を持たないということです。

そうなると、もう生まれているお兄ちゃんやお姉ちゃんと比較して、お腹の中にいることが分かっている弟なり妹に、相続するという権利が全く与えられないというのは不都合です。

その不都合性を考えて、例外的に胎児である最中も権利能力があるのですが、お腹の中にいる胎児に代わってお母さんが代理人として交渉することはできません。

愛犬も遺産

ペットの愛犬は自然人でも法人でもないので、所有物だった愛犬は相続財産の一部となり、相続人が複数いる場合は遺産分割の対象になります。

あらかじめ誰に愛犬を受け継いでもらうかを決めて、遺言で指定して、自分の死後も愛犬が幸せに暮らせるようにするための選択肢の一つとなるのが「ペット信託」というスキームです。

信託という仕組みを使って、ペットの面倒を見る人を指定し、その人に一定の財産を託すことができます。

誰にでも残る遺産の問題

誰でも喪主になる可能性があります。

自分の情報をまとめておくことは、年配者だけではなく、誰にでも必要なことです。

40〜50代でも独身で一人暮らしの場合、死んだら親が葬儀や相続の手続きなどの後始末をやることになります。

情報なしに高齢の親が仮想通貨などのデジタル遺品の処分をできるでしょうか?

すぐに相続が発生しそうな高齢者だけではなく、誰もが思い立った「今」から情報の整理を始めることが大切です。

故人のカードも保険証券も通帳も金庫も、探さないと始まらない場合が多いのです。

そもそも仮想通貨や通帳のないネット銀行の口座などは、持っていることを知らなければ、請求もできず財産が失われてしまうことになるのです。

生命保険などの保険証券を紛失したまま、契約者本人が亡くなったら、故人が保険に入っていたことを遺族が知らなければ保険金の請求手続きもできません。

さらに葬儀のしきたりや慣習についての知識は、学校でも教えてくれませんし、親が伝える機会もそうはありません。

終活は、年配者だけではなく、若い人も含めてみんなが知っておくべき問題です。

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