老人ホームの真相
老人ホームの口コミサイトは、まったく役に立ちません。
老人ホームに入居した経験があるという人は少なく、実態はほとんど知られていないからです。
また、医療的な機能で考えた場合、自宅にいることと変わらず、幼稚園に子供を預けているのと同じなのです。
そこを理解した上で、老人ホームを活用していくべきなのです。
老人ホームとは、認知症などの病気があっても安楽に安全に、そして快適に暮らしていくことができる家なのです。
口コミは役に立たない
インターネットの普及により、老人ホームの口コミサイトも増えてきています。
しかし老人ホームへの入居を考える場合、口コミサイトはまったく役に立ちません。
それは、老人ホームに入居した経験があるという人は少ないはずです。
つまり老人ホームの実態は、ほとんど知られていないということになります。
レストランやホテルなどの口コミ情報は、それを使う人が何度も利用した経験があり、常に過去の経験と比較することができるからこそ、価値があり役に立つのです。
老人ホームのサービス評価をする場合、介護が手厚いかどうか、ということではないでしょうか?
高級老人ホームは、この手厚さをアピールする傾向が強いと言えます。
そして、このサービスに対する手厚さを測る物差しとして説明されているのが、職員の配置人数なのです。
人員配置人数は多ければ多いほどサービスは手厚く、少なくなればなるほどサービス内容は手薄になります。
考えなくてはいけないことは、提供される介護サービスが利用者にとって、押しつけなのか野放しなのかということです。
多くの場合、手厚い人員配置の中で供される介護サービスは、押しつけが横行します。
また、手薄な人員配置で行われる介護サービスは、野放しが横行する傾向が見受けられます。
押しつけ介護とは、不要な介護サービスを職員から押しつけられることで、野放し介護とは、やってほしい介護サービスを、すぐにやってもらえないことを言います。
老人ホームは病院ではない
介護という仕事は、医療機関やホテルと違い、その気になれば、今日からでも、誰にでもできる仕事です。
資格制度はありますが、資格は無くても素晴らしい介護技術を身につけ、入居者から大きな支持を得ている介護職員は、数多く存在しています。
介護サービスの提供は人の手や声を媒体として、人の心が行うものです。
介護とは、介護職員各自の感性や判断、つまり介護職員の人間性にかかっていると言っても過言ではありません。
そして、介護技術の本質は、職員一人一人が持ち合わせている、優しさによるところが大きいのです。
そして、よく考えてみなければならないのは、病院と老人ホームでは、入院や入居している本人や家族の目的そのものが、大きく違うということです。
病院に入院している患者やその家族は、早く良くなって1日も早く退院することを望んでいます。
しかし、老人ホームの場合、多くの入居者やその家族は、終の棲家として入居をしている関係で、早く良くなって退去しなければいけないとは考えていません。
つまり、老人ホームとは病院ではないので、病気を治すところではなく、認知症などの病気があっても、安楽に安全に、そして快適に暮らしていくことができる家であると、理解をするべきなのです。
老人ホーム側も、1日でも長く、ホームで暮らしてもらいたいという前提で、事業計画を立てていますので、良くなって退去してもらっては困るというのが、本音ではないでしょうか?
老人ホームは自宅と同じ
自立支援。
介護業界でよく聞く言葉です。
多くの老人ホームで、入居者の日常生活動作の改善に取り組んでいます。
これは、寝たきりの高齢者を少しでも起こす介護、車いすが必要な高齢者に少しでも車いすで過ごす時間を減らすようにする介護の取り組みです。
医療の下請けとして医療保険にならう形で、介護保険制度は誕生しました。
そういう背景を考えると、医療と同じように改善するということを介護に求めるという考えには、一定の理解を示すことができます。
しかし、世の中にはさまざまなライフスタイルが存在し、そして尊重されています。
寝たきりの人生は、ダメなのでしょうか?
病院で管につながれて生きていくことは、価値のないことでしょうか?
それでも生きていたいと思うことは、いけないことなのでしょうか?
医療は治さなければいけませんが、介護は治さなければいけないわけではありません。
多くの方が老人ホームを病院と勘違いしています。
多くの老人ホームには、ドクターは常駐していません。
365日24時間体制で、看護師さんが常駐している老人ホームもありますが、多額の費用負担を必要としますので、多くは昼間帯のみのです。
つまり多くの老人ホームの場合、万一入居者の状態が急変しても医療処置はできません。
ホームドクターに連絡をした上で救急車を要請して、病院に救急搬送するということになります。
老人ホームは、医療的な機能で考えた場合、自宅にいることと変わりません。
老人ホームの機能
幼稚園は、預けた子供が熱を出したり、体調不良を起こした場合、すぐに迎えに来てほしいと連絡が入ります。
熱ぐらいで迎えに?
…と思いながらも、会社を早退して迎えに行くことになります。
老人ホームも同じです。
体調不良になれば、老人ホームから家族が呼ばれ、病院への入院を提案されます。
急な場合は、老人ホームの判断で病院受診をし、事後報告で入院したことを知るというケースもあるはずです。
万一の時は、救急車を呼び、駆けつけた救急隊員に、今までの状態や本人の既往歴、つい今しがたの様子などを伝えるだけなのです。
ドクターや看護師さんが常駐していない以上、継続的な治療が必要な入居者は、病院に行くことが当たり前なのだと考えなければいけません。
老人ホームの機能とは、家族の代わりに介護職員が365日24時間、途切れることなく継続して、様子を見続けてくれる環境を保有している住宅ということです。
つまり、医療的な処置などを、期待するべきではないのです。
そこのあたりを理解した上で、老人ホームに入居し、ホームを活用していかなければいけません。
ちなみに、病院に入院した場合、老人ホームの月額利用料金は食費を除き、全額を支払い続ける義務が発生します。
老人ホームへの支払いと病院への支払いと、費用の二重払いが生じるのです。
なお、特養などをはじめとする一部の老人ホームは、入院決定と同時に退去になるケースもありますので、契約時に確認が必要です。
病院の真相
病院にずっと入院していれば安心なのでは?
そう思いませんか?
しかし医療保険制度では、特定の疾患に対する入院日数の目安が、おおむね決まっています。
そして、その目安の期間を超えた場合、医療報酬が下がります。
病院も所定の期間内に退院できるように、最善の治療方法を検討して実施し、治療した上で退院させていかなければ倒産してしまいま。
むりやり患者を追い出しているのではありません。
疾患の種類により、適切な治療期間というものがあり、適切な治療を継続すれば疾患は、必ず完治することが判明しているということに、着目する必要があるのです。
なお、ここで言う完治とは完全に治るということではなく、設備が整った病院ではなくでも対処ができる状態まで回復するということです。
病院には、毎日適切な医療を必要とする多くの患者が訪れ、その中の一定数の患者は入院し治療をしなければいけない患者です。
患者を一人でも多く受け入れるため、治療を継続する必要性が無くなった患者には退院してもらい、ベッドを空けた上で、その代わりに病院での治療が絶対に必要な患者を受け入れるということが病院の役割です。
したがって、病院に入院しなければいけない必要性が無くなれば、老人ホームで軽微な医療処置を継続していくことになるのです。
ドクターと病室には限りがあります。
それを有効に活用する医療の場合、優先事項を考えたフォーメーションは、当たり前のことだと言えます。