最近、よく聞く「デジタル遺品」という言葉…
一般的な遺品と同じように、対応しないといけないモノなのでしょうか?
何がデジタル遺品で、どう向き合えばいいのでしょうか?
放っておくと、とんでもない被害をもたらすような怖さを感じませんか?
あなたは、どんな印象を持っていますか?
正しく対応するために、デジタル遺品といわれるモノの全体像をつかみましょう。
それによって、やるべきことも見えてくるのではないでしょうか?
目次
デジタル遺品の基礎知識?
まず、質問です…
「YES」ならチェックしてください。
□ デジタル遺品は実態がないので、放っておいても大丈夫だ。
□ パソコンやスマートフォンを、処分してしまえば安心だ。
□ 機器のパスワードが、分からなくても何とかなる。
□ デジタル遺品で、実害が遺族に及ぶことはない。
1つでもチェックがついたら要注意です。
「デジタル遺品整理スタートアップガイド」へ進んでください。
デジタル遺品の実態と取りまく環境を理解することで、持ち主として、また、デジタル遺品に対峙する遺族として、怖がり過ぎず、怖れすぎず、ちょうどいい向き合い方が見えるようになります。
デジタル遺品の処理方法?
□ パソコンやスマートフォンの処理の仕方は分かっている。
□ 機器に保存したデジタルデータの保全方法を理解している。
□ SNSやブログの死後対応は知っている。
□ ネット口座やネット証券を放置するリスクを理解している。
□ 放置していいモノと手を打つべきモノは、分かっている。
□ 家族に伝えるべきモノと、隠したいモノの線引きはできている。
ほとんどチェックがつく人は、遺族対応編「デジタル遺品を開く!」、または、生前準備編「デジタル遺品を託す!隠す…」へ進んでください。
チェックが少なめの方や、改めてデジタル遺品の全体像を知りたい方は、「デジタル遺品整理スタートアップガイド」へ進んでください。
遺族対応編
質問…
デジタル遺品は、処理を始められる状態にありますか?
□ 故人が持っていたパソコンやスマートフォンが手元にある。
□ パソコンまたはスマートフォンのロックが解除できる。
両方にチェックがついていれば、次に進めますが、それ以外の場合は、
チェックを満たすための捜索を進めるか?
オフラインは諦めて、作業を進めるか?
…の2択となります。
デジタル遺品を処理するために、必要なモノは揃っていますか?
□ 遺族として、何を取り出したいかが、整理できている。
□ パソコンやスマートフォンの操作に慣れた家族がいる。
□ ネット銀行の口座や金融商品の有無が確認できている。
□ 故人が公開しているSNSがつかめている。
全てにチェックが入れば、やるべきことがクリアで、処理するスキルにも問題がありませんので、望み通りに対応できる見込みが高いと考えられます。
チェックが埋まらない場合は、周辺情報を集める必要があります。
デジタル遺品を、どう処理するか決めていますか?
□ 回線契約や定額サービス、SNSなどを解除、または承継する。
□ 数ヶ月後に、新情報が届いてもいいように準備しておく。
このチェックが埋まれば、対外的な処理はほぼ完璧です。
しかし、規約は変動するので目を光らせておきましょう。
デジタル遺品と正しく向き合うためには、現状を把握することから始めなければいけません。
元々あったモノと、今触れられるモノ、遺族が持っているデジタル操作のスキル。
ここを整理します。
周辺情報を集める
家族が亡くなると各方面への連絡や、葬儀社との打ち合わせなどの手続きも重なり、落ち着いて、全てを完璧にこなすのは、難しい状況が続くことが多くなります。
ですから…
できる限りで構いません!
まずは、デジタル遺品やそれを開くパスワードは、時間が経つほど散逸しやすくなります。
できるだけ早く「デジタル遺品チェックリスト」の項目を調べ、該当するモノがあれば現状を維持したまま保管したり、メモして残しておいてください。
それがデジタル遺品解決の、第一歩となります。
また葬儀の前後は、貴重な情報収集のチャンスです。
式前の弔問や通夜振る舞いの席などに、ご友人や職場の同僚の方に、このような話をしてみます。
- 故人が関わった仕事で、見つからないデータは無いか?…教えてほしい。
- 金融取引やネット口座の話をしていなかったか?…教えてほしい。
- FacebookやLINEなど、どんなSNSをやっていたか?…知りたい。
- 故人とやり取りしていたメールアドレスがあれば知りたい。
しかしSNSなどは、家族に知られたくない場合もあり、ご友人が意を汲み取って話したがらないこともあります。
無理強いはせず、場の空気を壊さない範囲で聞いてみることです。
見つけ出したいデジタル遺品の記入例
見つけ出したいデジタル遺品 | ログイン | ||
情報端末 | パソコン | ◯ | できる |
スマートフォン | ◯ | できない | |
折りたたみ式携帯電話 | |||
タブレット | |||
SIMカード | |||
周辺のデジタル機器 | USBメモリ | ◯ | できる |
外付けハードディスク | ◯ | できる | |
マイクロSDカード | |||
デジタルカメラ | ◯ | できる | |
CD、DVD、ブルーレイDisc | |||
オンライン資産 | ネット銀行の口座 | ||
FXなどの証拠金取引 | |||
株などの金融資産 | |||
定額有料サービス | ◯ | できない | |
FacebookなどのSNS | |||
周辺情報 | パソコンやスマートフォンの箱 | パソコンのみ | |
通信・回線契約書類 | |||
金融機関からの郵便物 | ▲▲社から | ||
最近まで使われていた手帳 | |||
やりとりしたメールやメッセージ |
「見つけ出したいデジタル遺品(Word版)」は、ここからダウンロードできます。
デジタル遺品を開く!
生前準備編
質問…
どんなデジタル資産があるか、把握していますか?
□ 情報端末やサービスを含め、デジタル資産を把握している。
□ オンライン上の収支や預貯金などの財産を正確に把握している。
両方チェックがついていれば、デジタル資産に実質的な管理者が存在することになります。
あなたが所持しているかどうかあやふやで、それでいてお金が絡むのは厄介です。
そういう持ち物がないかを、改めて確認してみることが大切です。
デジタル資産を、引き継ぐ準備を考えていますか?
□ 情報端末のパスワードは、何らかの形でメモしている。
□ 契約中のオンラインサービスの、パスワードをメモしている。
□ 家族のITスキルを、把握できている。
□ プライベート情報は、普段からきちんと分けて整理している。
デジタル資産を把握することは重要ですが、遺品になった際の作業の担い手のことも考えておかなければ、実行性を伴う準備もプライベートの保護もできません。
全てにチェックが入っていれば、棚卸し作業はスムーズに進みます。
デジタル資産の生前準備は、できていますか?
□ 万一の時に、対応すべきデジタル資産の一覧をつくっている。
□ その情報が家族に伝わるような、仕組みを整えている。
このチェックが埋まれば、ひとまず安心です。
しかしデジタル資産は、日進月歩で姿を変えます。
定期的に、更新する習慣づくりも必要です。
現状を把握する
今所有しているデジタル資産は、あなたの死後にデジタル遺品となります。
困った遺品にならないようにするには、とりあえず全体像をつかみ、そこから現実的な対応を探っていくことが大切です。
また遺品は、あなたが生前準備する方が、遺族が一から処理するよりも、遥かに楽で、実作業が少ないのです。
あなたは持ち物を好きなように管理でき、整理の仕方も自由に変えられます。
何を持っていて、何を持っていないかもあなたが忘れていても、ちょっと履歴を辿れば把握することができます。
しかし、遺族はそうはいきません。
全てを手探りで探すことになります。
あなたが気まぐれで変更したスマートフォンのパスコードは、遺族の前では、週末の時間を全て割いても間に合わないほどの、作業量の壁として現れることもあります。
逆に少し手間でもあなたの没後に、パスコードが伝わる仕組みをつくっておけば、遺族の膨大な手間を省くことができます。
それは、隠しておきたいデータがある場合もプラスに働きます。
デジタル資産のリストアップ
あなたが所持している情報端末と、契約中の会員サイトなどをリストアップしてください。
- プライベートと仕事で使っている情報端末
- メールアドレスやApple ID、Googleアカウントなど
- オンラインで管理している金融資産
- 定額で支払っている有料サービス
- 利用している自身のSNSやブログ、ホームページ
- 仕事などで使っているクラウドツール
オフラインのデータは、情報端末が把握できれば、そこから整理できますので、後回しでOKです。
そしてIDやパスワード、引き落としの繋がりなど、個別の細かな情報も、後回しでOKです。
一時的なデータしか保存していないUSBメモリや、使っていない情報端末、同じく使っていない会員サイトのアカウントなども、無視して構いません。
放置して誰も困らないモノは、無理に深追いする必要はありません。
伝えたいデジタル資産の記入例
伝えたいデジタル資産 | 家族に… | |
情報端末 | スマートフォン 090-0000-0000 | 伝える |
会社の携帯電話 080-0000-0000 | 伝えない | |
メインパソコン | ||
モバイルノート | ||
… | ||
… | ||
契約 | プライベートのメールアドレス | |
仕事のメールアドレス | ||
Googleアカウント | ||
Microsoftアカウント | ||
… | ||
… | ||
オンラインデータ | ◯◯銀行の口座 | |
〇〇証券にある△△社の株 | ||
株などの金融資産 | ||
クラウドツールの○○のプレミアムサービス | ||
動画サイト△△の月額見放題プラン | ||
LINE | ||
… | ||
… |
「伝えたいデジタル資産」は、ここからダウンロードできます。
デジタル遺品を整理する簡単な方法
デジタル資産メモ
あなたも家族も「見つけ出したいデジタル遺品」や「伝えたいデジタル資産」を通して有用な情報だけをまとめた「デジタル資産メモ」を残すことをお勧めします。
家族はそれを元に、不安材料をひとつひとつ潰していき、あなたは万一の時に、家族に気づいてもらえるように日付を書いて、しっかり保管しておきましょう。
「デジタル資産メモ」は、ここからダウンロードできます。