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日本葬儀事情:仏式と神葬祭

日本葬儀事情:仏式と神葬祭

日本のお葬式において、仏式が圧倒的な割合を占める背景には、江戸時代の寺請制度と神道の死に対する捉え方が影響しています。

寺請制度が国民を仏教徒に結びつけ、神道が死を「穢れ」と捉える一方で、仏式は死を前向きに捉え、新たな生への旅立ちとして捉える儀式として定着。

日本の宗教的多様性が反映されたお葬式の文化をご紹介します。

なぜ日本の葬儀の9割が仏式なのか?

日本のお葬式の9割が仏式である背景には、江戸時代の寺請制度が大きな影響を与えています。

江戸時代初期に実施され、キリスト教の禁教令を伴ったこの制度は、全ての人が檀家に所属することを義務づけ、寺請証文を通じて国民を仏教徒として結びつけました。

1871年に廃止されましたが、檀家の継承や離脱の影響で、お葬式の9割が今も仏式で行われています。

お葬式の9割が仏式で行われているもう一つの理由は神道における死の捉え方です。

神道では死を「穢れ」と捉え、神社でお葬式を執り行うことが難しいため、寺院が中心となって仏式が行われています。

仏式は死を前向きに捉え、浄土へ行って仏になる可能性を提唱する儀式です。

死者の穢れと輪廻

日本のお葬式において、神道と仏教の対立や融合が独自の文化を生み出してきました。

神道では死を忌み嫌い、故人の存在に神聖な穢れを感じます。

これが神社に墓地が存在しない理由や、神棚を封じる慣習、喪中の期間に神社の境内に入ることを控える習慣などに表れています。

死者の遺体に対する感情は愛情と嫌悪の矛盾に満ちており、これは人類共通の情緒反応であると言えます。

故人の存在に対する神道の穢れ観は、腐臭や伝染病など公衆衛生上の問題も絡んでおり、これは日本人だけでなく、世界中で共通している情緒反応です。

神道は死を「穢れ」として避ける一方で、仏教は死を輪廻転生や極楽浄土への旅立ちと捉え、穢れとして恐れません。

神道の中心的神様である天照大神は太陽を象徴し、闇を恐れます。

神道の故人の行き先である黄泉国や常闇国は暗黒の世界であり、穢れた場所とされます。

祖先の供養

日本人の宗教信仰について尋ねると、多くの人が仏教と答えるでしょう。

しかし、日本の家庭に入ると、仏壇と神棚が共存していることがよくあります。

この事実は、仏教がアジア諸国の仏法僧とは異なり、祖先への供養にフォーカスしていることを示しています。

お釈迦様の教えは、日本独自の祖先や祖霊をまつる信仰を欠かせないものとし、その結果、広く受け入れられているのです。

この信仰は、日本固有の民族精神に基づいており、命が一つでも代々のご先祖様から子々孫々に脈々と受け継がれていると捉えるものです。

故人の魂が遠い場所へ行かず、この世にとどまり私たちを見守ってくれるという信念も根強く存在しています。

日本の葬儀と先祖へのまつり

日本の伝統行事として、安産、初宮参り、七五三、成人式、結婚式、厄年、年祝いなどの「人生儀礼」が大切にされてきました。

そして、その延長線上にある葬儀は、人生最後の重要な儀式と位置づけられています。

この葬儀の重要性は、「祖先のまつり」へとつながり、家族や地域社会が共有する文化の一環となっています。

日本人は死後の観念において、四十九日で仏、三十三年で神となると考えてきました。

これは仏教と神道、そして中国の儒教や道教の影響を受けた先祖崇拝の結びつきを示しています。

日本人の宗教性を指す言葉として「先祖教」が使われ、先祖を大切にする思想・文化が反映されています。

故人の霊は、初七日から三十三回忌を経て祖霊へと昇華していくと考えられています。

神葬祭と仏教葬:葬儀文化の歴史と変遷

神葬祭は、神道に基づく葬儀であり、日本独自の儀式です。

「古事記」や「日本書紀」には、神葬祭の様子が記されており、それは天若日子や伊弉冉尊の葬祭に関するものです。

しかし、仏教が伝来すると、長い間仏式が一般的な葬儀の形態となりました。

江戸初期には、寺請制度が設けられ、菩提寺を持つことが義務付けられました。

江戸中期には吉田家からの許可を受けた神葬祭が許可され、明治時代に入ると神仏分離の影響で一般にも広まりました。

神道と仏教の融合と対立が織り交ぜられた歴史的な背景により、日本の葬儀文化は多様で複雑なものとなりました。

明治時代になると、神葬祭が推奨され、新政府が神道を基盤とした国家作りを進めました。

1872年には神葬祭専用墓地が開設され、1873年には仏教の習俗に基づく火葬が禁止されました。

しかし、神葬祭の普及は難しく、政府は神道非宗教論を掲げる一方で、神道と仏教の融合が求められる状況となりました。

日本のお葬式の宗教的風景と変化

近代国家の樹立のために政教分離が進む中、神道のお葬式がゼロではないものの、多くはない状況が生まれました。

日本のお葬式の歴史的背景は、神道と仏教の対立や融合、政府の宗教政策の変遷が絡んでおり、その影響は今もなお感じられています。

ただし、最近では仏教徒の減少とともに檀家離れが進み、無宗教のお葬式も増えています。

神仏習合の文化が影響し、日本では神社で神道の行事、寺院で仏教の儀式が行われ、お葬式においてもその習慣が反映されています。

おそらく、お葬式の9割が仏式であるのは歴史的な経緯や文化、慣習が影響している一方で、実際には多くの人が「なんとなく」仏式を選択している可能性もあります。

それは、日本の宗教的な寛容さや異なる信仰を受け入れる国民性が影響しているかもしれません。

仏式 vs. 神式:日本のお葬式の異なる儀式

日本のお葬式には仏式と神式の2つの主要な儀式があり、それぞれ異なる宗教的背景と考え方が反映されています。

仏式の儀式

仏式は仏教に基づいたお葬式で、一般的なイメージとして浮かぶものです。

お寺様を呼んでお通夜とご葬儀を執り行い、お経を唱えながら御焼香を行います。

仏教の信仰に従い、故人の魂はお経の祈りと御焼香によって極楽浄土へ送られ、そこで新しく生まれ変わるとされています。

不祝儀袋の表書きは「御霊前・御佛前」などが使われます。

神式の儀式

神式は神道に基づいたお葬式で、神葬祭とも呼ばれます。

仏式とは異なり、お寺のお坊さんではなく神社の神主さんが祝詞を読む役割があります。

神式では故人の魂は輪廻転生するのではなく、その場に留まって家の守り神になると信じられています。

御焼香はなく、代わりに玉串奉奠と呼ばれる行事が執り行われます。

不祝儀袋の表書きは「御玉串料」となります。

これらの異なる儀式は、日本の宗教的多様性と文化的背景から生まれ、家族や社会によって選択されることがあります。

お葬式は故人への最後の別れとともに、宗教や信仰の継承を象徴しています。

神道と葬儀:家族の守り神への道

神道では死者は祖霊となり、その存在が家を守ってくれると信じられ、神社や神棚を通じて故人を祀ります。

一年祭、三年祭、五年祭、そして式年祭を通して、時間をかけて祖霊は家の守り神へと変化していきます。

この信仰の背後には、死者の魂が身近な自然に還り、子孫を見守るという死後観があります。

山や森、川、海に神社が建てられ、そこは祖霊が集まる場所として象徴されます。

お正月の初詣や秋のお祭りは、先祖と氏神が交流するための大切な行事とされています。

神道の死後観を理解すると、神式の葬儀の意味も明確になります。

神式葬儀は亡き人の霊を慰め、家の守り神になるよう祈り、霊祭や式年祭を通じて神様へと変化させます。

葬儀後は、定期的な祭礼を通して故人を追慕します。

神道の霊祭や式年祭は、自宅で行われ、祖霊舎に祀られる霊璽に向けて執り行われます。

奥津城と呼ばれる神道のお墓は特有の形状を持ち、頭頂部が尖り、諡号が彫刻されています。

香炉がなく、代わりに玉串や榊を載せるための「八足案」が置かれるなど、神道独自の慣習が見られます。

神道の葬儀は故人の魂が神となり、家族を見守ってくれる信仰に基づいています。

これらの儀式や概念は、神道が持つ独自の価値観と深いつながりを示しており、家族や社会の結びつきを象徴しています。

まとめ

日本のお葬式の儀式には歴史的背景や宗教的融合が複雑に絡まり、多様性を見せています。

仏教に基づく仏式と神道に根ざした神式、それぞれが異なる死者観や魂の行く先を提唱し、日本の宗教的な寛容さが儀式の選択に影響を与えています。

葬儀を通じて、家族や社会の絆が深まり、故人が永遠に心に留まる独自の文化が育まれています。

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