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葬儀文化の埋葬事情と舞台裏

葬儀文化の埋葬事情と舞台裏

日本の葬儀様式は歴史を通じて多様で変遷してきました。

この記事では、日本の火葬の歴史から出発し、その発展と仏教との関わり、異なる文化や宗教における葬儀慣習を紐解きつつ、現代の日本において土葬が可能かどうかをご紹介します。

日本の火葬の歴史

日本では長らく土葬が主流であり、最初の火葬の文献的記録は「続日本記」に見られます。

700年、唐から帰国した僧、道昭の弟子たちが行った火葬の事例が初めて確認されました。

しかし、6世紀頃の古墳からは火葬の痕跡が見つかり、火葬がそれよりも古い時代から行われていたと考えられています。

当時の火葬は「野焼き」とも呼ばれ、大量の薪と多くの手間がかかり、非常に贅沢な葬儀形式でした。

江戸時代に入り、都市部では火葬場が設置され、火葬が一般的になりつつありましたが、一部の地域では禁止され、火葬を仏教を否定する口実として非難する動きも見られました。

明治時代になると神仏分離令が施行され、排仏毀釈運動が盛んになり、火葬が一時的に禁止されました。

しかしながら、大都市では火葬の必要性を訴える「火葬便益論」が提出され、1875年に火葬禁止は解除されました。

第二次大戦後、政府の融資により火葬場の増改築や新設が進み、1972年には「日本火葬施設整備管理協会」が設立され、火葬の近代化と公害防止に注力しました。

これにより、日本の火葬は飛躍的に増加しています。

日本の火葬と仏教葬

日本の火葬と仏教葬には緊密な関係があります。

江戸時代の全国の火葬率はおおよそ2割程度だったと考えられます。

東京や京都などの大都市や、浄土真宗が強い北陸地方では、火葬率が高かったことが明らかになっています。

明治政府は1873年に火葬禁止の布告を行いましたが、これは仏教的であるとの理由に基づいていました。

しかし、東京の火葬寺が提出した『火葬便益論』が火葬のメリットを強調し、その2年後に政府は火葬禁止を撤回しました。

この撤回には市街化から離れることや、煙突の注意、火葬場と墓の分離などの条件が結びついています。その後、京都市や東京などでも市街地での土葬が禁止されました。

明治時代には、昼間の火葬や即日の拾骨が可能になり、火葬が進展しました。

そして、明治30年の伝染病予防制定以降、法定伝染病患者の遺体は原則として火葬とされました。

現在、火葬場および墓地は「墓地、埋葬等に関する法律」によって管理され、厚生労働省の管轄となっています。

江戸時代には仏教寺院による「火屋」と呼ばれる火葬施設が存在しましたが、伝染病予防法制定以降は火葬場の整備や統廃合、自治体の参加が進みました。

しかし、設営が毎回必要なことから、火葬は高額な葬儀と見なされ、貴族や武士階級が主に利用するものでした。

江戸時代には庶民が野焼きを行う場合もあったと考えられます。

明治時代には公衆衛生上の理由から管理が厳しくなり、近代的な火葬場の建設が進みました。

これにより、日本の火葬は歴史的な変遷を経て、公衆衛生の一環として位置づけられています。

異なる文化での火葬の風習

火葬の風習は文化や宗教によって大きく異なります。

中国と韓国では、儒教の影響から「孝」や死後の魂の還る考え方が重要視され、土葬が主流でした。

しかし、現代では若者を中心に儒教の影響が薄れ、火葬がじわじわと増えています。

中国では全体の約67%が火葬となり、韓国も49%が火葬となりつつあります。

アメリカやヨーロッパでは、キリスト教の信者が多く、死後の復活が信じられていることから土葬が主流です。

欧米では「遺体を焼く=復活できない」という考え方が一因で、フランスでは特に伝統的なカトリックの信者が多く、火葬率は30%と低い水準です。

ただし、キリスト教徒の多い国でも土葬が必ずしも主流ではありません。

イギリスではプロテスタントが多く、火葬率は73%と高い水準です。

これは合理的とされるプロテスタントの影響や、土地不足の問題が影響しています。

一方で、アメリカもプロテスタントの多い国であるが、土地が豊富なため火葬率は40%とイギリスよりも低い水準です。

キリスト教徒にとっては、土葬が主流である一方で、地域や文化的な要因も影響して葬儀の風習が多様であることが分かります。

イスラム教では、土葬が戒律に厳格に基づいて守られています。

イスラム葬儀では、死者はできるだけ迅速に埋葬されるべきとされています。

通常、特定の葬儀の儀式や形式が規定されており、土葬が主流です。

土葬は、信者が死後に安らかであることや肉体の分解を促進するといった信仰的な理由から重要視されています。

ユダヤ教もまた、土葬が一般的であり、これは宗教的な戒律に基づいています。

死者の埋葬は迅速に行われ、墓地での葬儀儀式が一般的です。

ユダヤ教では、死者の体はできるだけ傷つけず、土に還ることが重要視されています。

火葬は原則的に認められていません。

ヒンドゥー教では、火葬が重要視されています。

死者の体は浄化の儀式を経て火葬され、灰は河川に散骨されることが一般的です。

このプロセスは、輪廻転生といったヒンドゥー教の信仰や概念に結びついています。
火葬は肉体の浄化と魂の解放を促進する手段とされています。

異なる宗教においては、死者への敬意や信仰に基づき、土葬や火葬が選択されることがあり、これはそれぞれの宗教の教義や信仰体系に根ざしています。

多死社会における火葬場不足

「墓地、埋葬等に関する法律」によれば、死亡又は死産後24時間を経過しなければ、埋葬や火葬は行えないとされています。

これはお葬式を行わない場合でも同じで、死後24時間以内には火葬ができません。

例えば、亡くなった日の翌日の16時以降であれば、理論上は火葬が可能です。

ただし、この場合も死亡届や死体火葬・埋葬許可証の発行などの手続きが必要であり、即座に手配するのは難しいのが実情です。

また、公営火葬場においても最終の火葬受付時間があることが一般的で、地域によって異なります。

したがって、夕方以降に亡くなると、翌日に火葬ができない場合があります。

更に、友引の日は火葬場の休業日となっていることもあり、これが待ち時間の一因となっています。

休業日翌日は通常の倍の予約が入ることも考慮すれば、予約がいっぱいだった場合、亡くなった日時によっては4、5日先になることもあります。

しかし、火葬場が足りないと感じられるのは、単純にはその理由だけではありません。

朝の9時や友引の日でも予約が取りやすいことから分かるように、人気のある時間帯が混み合っているだけで、全体としては予約が難しいわけではありません。

最後に、友引を休業日とする迷信がある中、開場する施設も増えていますが、実際には友引を利用するケースは少なく、通年で友引に開場している施設の利用率も年々上昇しているものの、全体の6割程度にとどまっています。

火葬場が足りないと感じられるのは、予約が取りにくいというよりも、施設や時間帯の選択によるものが大きいと言えそうです。
近年の直葬や家族葬の増加も影響しており、火葬にかかる日数が長くなる事態が生じているのです。

日本で土葬は可能?

火葬が主流となる中で、日本で土葬を選ぶことは可能なのでしょうか?

そして法律的には問題がないのでしょうか?

土葬の現実と法律

火葬が一般的である中、土葬は棺桶を土に埋葬する方法ですが、そのためには広い墓地と深さが必要です。

法律上は、埋葬とは死体を土中に葬ることであり、認められた墓地であれば土葬は問題ありません。

現実的な課題

しかし、日本では実際のところ、土葬を行える墓地は非常に限られています。

自治体や寺院・霊園で土葬を禁止している場合があり、東京都などでは土葬禁止地域が設けられています。

自治体の条例によっては、土葬が事実上難しい地域が存在することを把握しておくことが重要です。

土葬可能な場所

一部の霊園では土葬が認められています。

こうした場所では、地域の条例や管理者の方針に則り、土葬を実現することができるでしょう。

土葬を望む方は、事前に希望する場所が土葬に対応しているかどうかを確認し、可能であればその場所を選ぶことが重要です。

火葬と異なる葬儀のスタイルを選びたい場合は、条件をよく理解し、合法的かつ希望に添った土葬を選択できるよう配慮することが大切です。

まとめ

葬儀慣習は歴史と宗教、文化と深い関わりを持ち、それが時とともに変遷しています。

日本の葬儀文化もその一翼を担い、火葬が主流になる中、土葬を望む方々もいます。

しかし、その実現は簡単ではありません。

法的な側面や実際の課題、そして土葬が可能な場所などを考えると、慎重な選択が求められます。

近年、墓地や霊園においても新たなスタイルの葬儀が模索されており、土葬に対応する場所も増えています。

これからも変化が続くでしょう。

希望や信仰に基づいた葬送方法を選ぶことは、大切な故人への最後の思いやりとなります。

どの形式を選ぶにしても、その選択には深い意味が込められています。

故人との別れは悲しみと共にありますが、その最後の旅路が尊重され、安らかであることが重要です。

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