高齢者施設での看取りと葬儀

日本において、高齢者の死亡場所が大きく変化しています。

病院での死亡率が下がった一因は、自宅よりも高齢者施設での「看取り」が増加したためです。

2005年にはわずか2.8％だった施設死の割合が、2016年には9.2％まで急増しています。

統計上の施設には特別養護老人ホーム（特養）、有料老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホーム（ケアハウス等）が含まれ、老人保健施設も別に集計されています。

この5つの施設を総じて「施設」と呼びます。

特に注目すべきなのは、特養での死亡者数の変遷です。

2002年から2012年にかけて、病院への搬送による死亡が急減し、特養内での死亡が急増しています。

全国老人福祉施設協会（老施協）の「全国老人ホーム基礎調査」によれば、2002年には病院死が41.6％でしたが、2012年には31.8％まで減少し、一方で施設死は30.7％から43.2％へと増加しています。

この傾向の背後にはいくつかの重要な要因があります。

ひとつは、2002年以降に広まった「ユニット型個室」の拡充です。

個室ではプライバシーが保たれ、入居者は自分の生活スタイルを維持できます。

これにより、最期を特養の居室で迎えたいとの願望が広がりました。

もうひとつの重要な要因は、介護保険による後押しです。

施設で亡くなると新たな報酬として「看取り介護加算」が2006年度に設けられました。

これにより、施設には死亡日に応じた加算収入が発生し、施設内での看取りが促進されました。

高齢者施設での死亡が増加する中、入居者や家族との対話が重視され、施設での看取りが「良い介護」として認識されています。

この変化には、施設内での最期が一般的でなかった時代からの転換や、医療体制への新しい発想が影響しています。

近年、高齢者の施設内葬儀が増加しています。

かつては家族が自宅での介護を行うのが主流でしたが、ライフスタイルと価値観の多様化が影響を与えています。

高齢者のケアにおいて、施設内葬儀が一つの選択肢として重要性を増していくでしょう。

高齢者が施設で看取られる傾向が増加する中で、その選択とこれに続く葬儀に関して探ってみましょう。

この記事では、以下の3つの重要な観点を取り上げます。

高齢者が施設で亡くなる場合、家族や関係者はどのような葬儀の選択肢を検討するべきでしょうか。

施設内で葬儀を行うメリットや、スタッフが手配にどの程度協力するのかについて考察します。

また、これが選択される理由や感じられる利点も明らかにします。

高齢者施設における葬儀サービスは、時代とともに進化し、入居者とその家族に寄り添ったものとなっています。

施設内で行われるお別れの儀式や提供されるサポートは、単なる儀式以上の意味を持ち、入居者とその家族にとって重要なものとなっています。

高齢者が施設で看取りを迎える場合、葬儀費用は家族や関係者にとって気になる重要な要素となります。

昔ながらの自宅葬から、近年では斎場などの葬式場を利用した葬儀が主流となっています。

しかし、その中でも注目を集めているのが「施設内葬儀」。

高齢者の生活環境の変化に対応し、ますます選ばれている施設内葬儀には多くのメリットがあります。

施設内葬儀は、故人が親しんだ環境で安らかに見送れること、会場探しや遺体搬送の手間が省けること、同居者や施設関係者も参加しやすいこと、一貫したサービスを提供できることなどのメリットがあります。

葬儀の形式は一般的な葬儀場で行うものと変わりはありません。

高齢者施設での看取りと葬儀が増加する中、その変遷と意味をご紹介しました。

施設内葬儀の魅力やサービスの進化が、入居者と家族にとって心温まるものとなっています。

これからも、高齢者の最期に寄り添い、施設内での看取りと葬儀がより良い形で提供されることでしょう。